量子な計算のはなし

 

先日、他分野の同期に量子計算についてざっくり話す機会があった。

いくら量子コンピュータが早くて凄くて、でも実装が難しいのだなどと言われても、

フォンノイマン型の汎用コンピュータと設計が違いすぎて、得体の知れないものという印象になってしまっていることも多そうだ。

今回は、量子計算とか量子情報とか量子コンピューティングとか、そこらへんのことについて、ざっとまとめておきたい。

 

 

ちょっと量子について

そもそも、量子計算の言うところの量子、のニュアンスは何だっただろう。

 

量子力学は、それまで決定論的に記述していたモデルを、確率論的に記述しなおす取り組みだった。

日常のなかでは意識することはなかなか無いが、試しにミクロの世界の住人になって周囲を見てみると、
この世界はどうやら電子とか原子とか、あらゆる物質を構成する最小の要素で成り立っているらしい。

そういった構成要素は、じっとある一点に止まっているというよりは、
大体ある一点にいることが多いのだけど、あるときは端っこにいたり、あるときは中心付近にいたり、空間的な広がりを持って分布している。
こういうものたちを記述するにあたって、ある一点で質量をもつ質点として、期待値として考えるのでは、うまくいかないことも多くなってきた。そこで、これらを確率分布として捉え直そうというのが、量子力学の考え方だ。

世界を記述する方法として、これまで私たちは事象の期待値だけについて議論してきたのだが、事象の取りうるあらゆる可能性を考慮して、確率分布、行列やテンソルを導入して、より詳細に世界を記述し始めたわけである。

 

さて前置きが長くなったが、量子計算の”量子”の意味する重要な考え方は、
これまで0か1のインプットに対する演算をベースとしてきた計算方法を、

確率論的に記述される状態(例えば確率1/3で0だけど2/3で1、のような状態)に対する行列演算(ユニタリ変換)という手法にしてみる、ということで、

これによって、今までできなかったような処理も可能になったというわけである。

この”確率論的に記述される状態”(キュービット)をどうやって保持するか、ということが困難で、様々な種類の量子コンピュータが考案されている。

 

量子コンピュータの種類

 

この章では、量子計算の手法について紹介していこうと思う。

量子コンピュータは、大きく分けてアニーリング式とゲート式に分類される。

アニーリング式は、組合せ最適化問題に特化した量子コンピュータで、
計算モデルを、イジングモデル(磁気相転移など、様々な固体物理の現象で広く用いられるモデル)で記述できる実際の物理系にマップすることで、高速な計算を実現するコンピュータだ。実際に、D-Wave社やNTTなどが開発・既に実用化している。

一方ゲート式は、従来のコンピュータが 0か1の入力に対してAND, OR, NOT のようなゲートを組み合わせることであらゆる計算ができるように、キュービットの入力に対して量子ゲートを組み合わせることで様々な計算をする汎用コンピュータである。こちらはGoogle社やIBM社などが開発に取り組んでおり、実用化のためには、より多くのキュービットを同時に処理する技術が課題である(スパコンの速度を超えるためには56ビットが必要と言われているが、2019年9月にIBM社が53ビットの量子コンピュータを公開している[1])。

もう少し詳細に紹介していきたい。

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